幼稚園児の娘はYouTubeが好きだ。
全くお恥ずかしい限りであるが、一定のルールの元で許可している。
私とは違う人間である娘が好きである合法なものを、一方的に完全に禁止するのが良いことである自信がないからだ。
また、一部のチャンネルは高度なクラフトや工作を教えてくれることもあり、そういうのはまあ良いかなとも思う。
娘は将来、YouTuber（か、絵で喰う人）になりたいらしい。
なんと嘆かわしい……。
私や夫の考えでは、不安定な職につくことは好きにすれば良いけれども、全世界に顔を公開すること自体がとにかく危険であるので全力で止めたいのである。
そういう説明もしている。
しかしよく聞いてみると、とりあえず直近でやりたいことは、YouTuberのような動画を撮って自分で観てみたい、とただそれだけのようであった。
祖父母などには観せたいけども、全世界に公開はしなくても良いらしい。
そこで渋々ながら、娘の言う通りにカメラを回す。
タブレット玩具を紹介する様子や、UVレジンで宝石を作る様子をひたすら撮る。
……つまらない（白目）。
腕が痛い。
娘自身はノリノリでひたすらしゃべっているが、まだ、『編集でカットして繋いで作る』の概念が無いので、メリハリなくずっと退屈なシーンが続く。
そこで、実際の動画は短い尺の裏に多くのカットされた部分があること、視聴者にとってつまらない、例えばUV硬化のシーンは撮る（喋る）必要はないことなどを説明する。
そして撮り終わって気づく。
あれ、私なんで編集する気満々でいるの？
どんなに多くても世界で5人くらいにしか公開しないのに、そこまでする必要ないじゃない。
そして、ああっ！
なんで私の手は勝手にイラレでチャンネルロゴを作り始めているんだ！
動画にエフェクトをかけるのをやめろ！
テロップもBGMもいらないんだ！
トチッた部分を撮り直したり編集で良い具合に誤魔化したりする必要はない！
そこまでする必要はないんだ！
ローカル環境に動画配信サーバーを立ち上げようとするのをやめろ！
YouTubeそっくりのWebクライアントを作り始めるんじゃない！
様子を見ていた夫が言う。
「出た。
ビョーキだよ。
徹夜でやるんでしょ、それ」
はい、たぶん……。
