nicesliceのブログ

子供を見るか、子供の視線のその先を見るか

そろそろ、『家事の放棄』を許容しないか?

某サイトで、とある女性の話を読んだ。
簡単に述べると、彼女は共働きで子供を育てており、全ての家事を放棄して、以下のようなライフスタイルを続けていたところ、夫に離婚を切り出されたという。

・平日、仕事が終わったら、子供を迎えに行き、公園に連れて行く。
・夕食は、外食か惣菜。
・朝食は夫が作る。
・その他の家事は週末に夫がやる(家事代行の利用を夫が嫌がる為)。

一方の話しか読めないため、どちらが良くてどちらが悪いかなどは分らないし、私はそれを判断する立場にないが、国を挙げて女性の就業率を上げようとするのであれば、上記のようなライフスタイルを、家族や周囲が受け入れなくてはならないと思う。

上記のようなライフスタイル(料理を含めた家事のタスクを最小限に抑える)は、女性就業率の高い多くの国では一般的な事である。
日本はかつて、専業主婦に支えられた男性が、100%のリソースで外で働く、というスタイルで成長してきた。
未だに、個人のリソースを100%振り分けられる前提で就業スタイルが成り立っており、周囲も、サラリーマンとして働く以上は仕事が何よりも優先されるべきであると期待している。
そして、家庭内に於いては、これまた100%リソースを家事育児に振り分けられる前提として、昭和並の家事育児が期待されている。
誰が期待しているのか?
夫もそうだろうし、周囲の外野もそうであろう。
でも何よりも、妻本人が、昭和の主婦のようで在ろうと自分に期待、いや、自分を束縛しすぎているのではないか。

こんな記事もある。

時短料理「手抜きでは」 家族7人分、毎日手作りする女性の胸の内

withnews.jp



子どもへはなぜ「愛情弁当」? 共働き増えても、愛情論が再生産

withnews.jp



昭和のサラリーマンのように働きながら、昭和の主婦のように家事をしなくてはと、時短料理に罪悪感を抱いているようでは、本当に自ら潰れてしまうと思う。
お弁当も、もっと簡単で良いと思う。

1990年代、一部のスーパーウーマン達が男性の労働市場に進出。
家事育児仕事を全て担い始める

2000年代、景気悪化から、結婚出産しても働き続けるスタイルが普及。
多くの普通の女性が、両立を試みる。

2010年代、スーパーウーマン以外には全ての両立は不可能だと判明。
男性にも家事育児を行うよう圧力が掛かるように。

さて。
全体のタスク量を変えないまま男性を家事育児というステージに引っ張り込んでやらせてみても、やっぱりそうそうどこの家庭でも『平等に』上手くいくってことは、あまり無かったのかなぁ、と思う。
全世界を見回しても、家事労働を含め全てが男女平等に、というのは、理想ではあるけれどもなかなか難しいようであるし(ソース無くてすみません)。
何より私自身、ホルモンの変動や、筋肉量や、おっぱいが出るか否かなど、男女間でどうしても差異があり、それに従った作業の向き不向きというのはあるだろうと思っている。

だから、2020年代は、家事育児をふくめた全体のタスク量をいかに減らすか、というのが大きなテーマになると思う。

以前、確か『沸騰ジパング』というテレビ番組で、シンガポールの家族の一日を取材するというような特集を観た。
その時、三食全てを外食で済ませるという一家に対して、インタビュアーが理由を問うていた。
それに対して一家は、当たり前のように平然と、

「だってうちは皆働いているから」

と答えていた。
そうだよ、大人が全員外で働いていたら、外食になるのは当たり前なんだよ!
と、当時目から鱗が落ちた思いであった。

ただでさえ就業時間が長いと言われる日本で、女性の就業率を上げようというのならば、家事育児介護負担軽減へ向けた官民挙げての意識改革への取り組みが必要だ。
現在、女性誌やCMでは

『働く母はステキ!』

『働くママは輝いてる!』

とコピーを打ってる。
それと同じように、

『もう決めた?

 職場復帰直前対策!

 家事外注先徹底レビュー!』

や、

『平日の子連れプチディナーでインスタクイーンを狙え!』

など、イメージ操作を積極的に行っていって欲しい。
ちなみに私は、家事も育児も介護も『働く』という言葉に含まれるべきだと思っているのであるが。

家でなるべく料理をしないというのは、CO2削減の面からも良いのではないだろうか。
100軒の家で一斉に天ぷらを作るより、1軒のスーパーでまとめて作った方が、いろいろな無駄が省ける気がする。
実際にどうであるかは知らないが、

「今、夕飯を惣菜で済まそうとしている私は、CO2削減に貢献しているのよ!」

と思えば、日本の意識高い女性達の罪悪感も少しは軽減されようというものだ。

「そんなことでは日本の食文化、食育は破綻してしまう!」

と思う人が多いようであれば、そもそも我が国で女性の就業率UPを目指すのは早すぎた、という事だ。

私は裁縫の類が大好きで、喜ばれるのであれば人の為にリソースを提供する事に吝かではないが、そうでない人は裁縫などというコスパの悪い作業を無理にやらなくて良いと思う。
私はいつか来る PTA への参加が恐ろしくて仕方ないが、そういう事が好きな人が存在することは知っている。
皆の時間的リソースが限られている中、皆が自分に合った方法で、家族と周囲に貢献し、それが愛情として認められる社会であって欲しいと思う。