先週のこと。
娘が自宅トイレで派手に転び、子供用踏み台に顔を強打した。
顔に濃いめの痣が出来て心配だった為、近所の形成外科に予約をとり、相談をしたところ、痣は心配無いが顔の内部に骨折が無いか確認する為CTを撮りましょうとのこと。
すぐさま検査となったのだが、CT室での娘の抵抗が凄かった。
特に痛いことをするわけでも無いのに、嫌だ嫌だ、怖い怖いとギャンギャン泣き叫び、3、4人いらっしゃる検査技師の方と私、皆で説得するも頑として検査ベッド(?)に寝転ばない。
壁に描かれた魚やら動物やらを指差し、
「ほらほら、可愛いお魚さんだよ!
全然怖くないよ!」
などとやるも、全く耳に入らない状態だ。
廊下ではきっと、他の方もお待ちだろうに、娘にこんなに時間を掛けて頂いてはいけない。
検査技師の方々にも手間をお掛けして申し訳ない。
もう検査を受けず帰ろうか??
しかし骨折していたら??
焦りが募る。
……仕方ない。
私は意を決した。
「じゃあ、私が寝〜ちゃお〜〜!」
私は自ら検査ベッドに寝転んだ。
「わぁ〜〜〜!
なにこのプリンセスベッド、めっちゃフカフカ〜〜〜!(←恍惚の笑みでグレーの硬いクッション面を撫で回しながら)
私、ずっとこのプリンセスベッドに寝てみたかったんだぁ!
あら、もしかして頭上のあれは噂のプリンセストンネル?
あれをくぐるとプリンセスになれるんじゃない?(自分でも何を言っているのか分からなくなってくる)」
ここで、若い女性技師さんの援護射撃が入る。
「ほらほら、○ちゃん、ピンクのプリンセスまくらもあるのよ!」
「聞いた!? プリンセスまくらだって!
わぁ〜、めっちゃ素敵!
え? 娘ちゃん寝ないの?
プリンセスベッドなのに?
じゃあこのプリンセスベッドは私だけのねぇ〜〜〜」
もう、他の検査技師の方の視線などはどうでも良い。
廊下で待っている皆様に声が漏れていても構わない。
私の一時の恥などかきすてである。
「お母さん、どいてぇ!
わたしが寝るうぅ〜〜〜!」
ギャン泣きの娘がギャン泣きのままそう叫んで突進してきたところで、私はベッドから降り、検査技師の方にお詫びして検査室を出た。
検査結果は異常なしであった。