nicesliceのブログ

子供を見るか、子供の視線のその先を見るか

令和版『スマートな日本人』が読みたい

サトウサンペイ氏の書いた、『スマートな日本人』という本がある。
1980年に刊行された、マナー本である。
仕事や娯楽で海外へ出始めた当時の日本人に向けて、欧米先進諸国のマナーや、そのほかの様々な国々のマナーを、漫画とユーモアを交えて書かれている。
姉妹本として、『ドタンバのマナー』という本もあり、こちらでは日本国内のビジネスシーンにおけるマナーについて書かれている。
私はこれらを、かれこれ30~40年読んでいる。
正確には、子供の頃愛読していたのを思い出して、改めて購入して子供と一緒に読んでいるのだ。
しかし、やはり時代が変わればマナーも変わるので、今見るとちょっと時代に合わないな、と思う部分もある。
更に、人々の意識が変わって新たに心に留めなくてはいけないマナーも発生しているように思う。

そこで、令和にふさわしい振る舞いを解説してくれる、同様の本があれば良いのになと思うのであるが、サトウサンペイ氏に書いていただくことはもはや叶わないので、僭越ながら、私がにわか失礼考案者となり、令和私家版、『スマートな日本人』を書いてみようではないか。

容姿を褒めない

容姿を貶さないのはもちろんのこと、褒めるのもダメ。
「背高くてカッコイイですね」
「痩せて素敵になりましたね」
など、いくらポジティブな思いで言ったとしても、本人が良い思いをするかは別。
何より、『人を外見で判断することを隠そうともしない危険人物』と認識されます。

実際は生きる上で容姿で判断されるシーンが多いとしても、そこは本音と建前。
「私は目の前の人は『脳』としてしか認識していません」
というポーズを貫きましょう。
履歴書に写真を貼ることを応募者に求めるのももはや危険な行為。

更には、飲みの席で
「肌の色が白くて美人ですね」
などと言った日には、人種差別主義者として厳重注意されるでしょう。

一方、
「その新しいジャケット似合うね」
は、本人の容姿に対する言及ではなく、ジャケットと本人との関係性に対する言及なのでOK。

飲み会の店選びに注意

牛肉を食べない宗教、豚を食べない宗教など、いろいろあります。

 

人の食べ物に言及しない

「え? 今度のイベントのお弁当、キミいらないの?
 自分でお弁当持ってくるって?
 なんで?
 タダだよ、美味しいよ?」

なんて無邪気に問い詰めないこと。
宗教だけでなく、感覚過敏だとかヴィーガンだとか、何かしら食べ物にこだわりのある人なのでしょう。
それを他者に話す義務はありません。


プライベートなことを聞き出さない

「彼氏(彼女)いるの?」
「結婚してる?」
「子供いるの?」
などはどれも、家族計画や性的嗜好に関わるセンシティブな質問です。
「ハハッ、そーすね」
と流している裏側で、
「(彼女(彼氏)じゃなくて彼氏(彼女)がいるんだよ)」
とか、
「(不妊治療大変なんだよ、聞くなよ)」
などと内心思われているかもしれません。

「パートナーとは休日どうすごしてる?」
くらいがギリギリOKな線か。

関係性が良くなってきたら、話しても大丈夫なことは自分から話すでしょう。
こちらからは聞かない方が良いです。


年齢を聞かない

年齢で上下関係を確認しないと話すことも出来ない儒教文化では不便ですが、年齢を聞くのはとても失礼なこと。
相手の『年齢』という属性によって話し方や態度を変えるという行動がそもそも良くありません。
年齢と能力には絶対的な相関性はありません。
『何歳に見えますかクイズ』も、意味不明でセンシティブなゲームです。

 

相手のパートナーの勤務先の上司と同僚に思いを馳せよ

「え?
 子供を病院に連れて行くから出勤できないって?
 そんなの奥さんに任せなさいよー」

と部下に言う時は、部下のパートナーの勤務先に負担を押し付けようとしていることを自覚すること。
部下のパートナーの上司にその場で直接電話を掛けて、

「ウチの会社の業務内容の方が社会的価値が相対的に高いので、おたくがコスト負ってくださいよ」

と言える勇気のある者のみが冒頭のセリフを吐くこと。
その際は、部下のパートナーが取引先の有力者であるとか自社の大株主であるとかいったパターンも当然想定しておくこと。
更には、老人ホームに預けた老母の面倒を診てくれている本日の介護士のシフト担当者が偶然部下のパートナーであるといったパターンも想定しておくこと。
「自分がここで断ったら見知らぬ誰かがう●こまみれになるかもしれない、それは巡り巡って未来の自分の姿なのかもしれない」という心意気でいること。
会社が人繰りに留意してくれないのなら転職も視野に入れること。


カメラONを強要しない

オンラインミーティングで突然カメラONを求めないこと。
いろいろ準備が必要かもしれません。
『意味もなく人の顔を見たがるヤバいやつ』と思われるおそれも。

 

出身地トークは慎重に

出身の国や地域は、センシティブな話題につながってしまうこともあります。
聞かれたくない人もいます。
一方で、楽しい話題につながり盛り上がる可能性もあります。
どうしても話題にしたいのなら、くれぐれも慎重に、相手との関係性や、その場のメンバーの組み合わせに注意して取り上げましょう。


身につけるもののマークの意味に注意

例えば、魔法っぽさの可愛い六芒星ですが、戦争をしている国の国旗に使用されていることもあります。
それが描かれた魔法っぽいカードケースを、「かわいー!」などと無邪気に身につけていたとして、当該国と敵対する文化圏出身の人が同僚にいたら、どういう印象を与えるかに注意しましょう。


感情を露わにしない(怒らない)

ビジネスの場で、しかも人前で、感情的に部下を怒る。
それは確実に『ヤバい人』です。
マネジメントの本を何冊か買って、部下に対する効果的な注意方法を学ぶ必要があるでしょう。

 

休みの理由を聞かない

何かしら人に言いたくない事情があるかもしれません。
業務上の必要性と法的妥当性が無いならば聞かないこと。

 

同僚の働き方を気にしない

あなた以外の社員は、『あなた』とではなく、『会社』と契約をして働いています。
勤務時間や勤務方法、業務内容、報酬にいたるまで、契約内容はあなたと違うかもしれません。
「なんであいつだけテレワーク可なんだよ」
と、あなたが嫉妬することに正当性はありません。
不満があるならば、自分の契約内容を変えられないか、自分で会社と交渉すること。