nicesliceのブログ

子供を見るか、子供の視線のその先を見るか

先延ばし癖を乗り越えろ

家計診断的なネットニュースが好きである。
自分の家計にも役立つことがないか、他の人は貯蓄のためにどんな工夫をしているか、興味が尽きない。
大量の家計診断を見る中で、一つ気づいたことがある。
「これはダメだな」と思う家計は、通信費が高いのだ。
まず通信費を見て、高すぎると思った家計では、やはり意味不明な支出が多く、健全に回っていない。
診断役のFPもまずそこを指摘するのであるが、すんなり聞き入れればまだ良い方で、「仕事や学校の都合で高いプランが必要なのだ」とか、「月賦で通信会社からデバイス本体を買っているが故の高額なのだ」とか、酷いと「通信会社の決済サービスを使ってコンビニなどで食料品や日用品を買っていて、それが含まれているのだ」などと言い訳をする。

どんな都合かは知らないが、通信品質を維持しながら通信費を下げる方法はある。
ちょっと調べれば、いくらでも出てくる。

月賦で本体を購入するのは果たして得なのか。
通信料金と相乗りすることで多少安くなると聞くが、それよりも自分で一括で用意した方が安くはないか。
中古のものや、メーカーによる再整備品もある。
一括で買えないようなスペックの本体はそもそも不必要である可能性が高く、低スペックで安い本体は多く売られている。
必要なら、家計が改善してから高スペックなものを買えば良いのだ。

通信会社の決済サービスを利用して食料や日用品を買っているのであれば、それは食費や雑費として計上すべきである。

また、「昔のキャリアメールアドレスを利用しており、昔の知り合いから連絡があるかもしれないからプランを変えられない」というような話も聞く。

大丈夫!
何を期待しているか知らないけど、そんな昔の知り合いから連絡が来ることは無いよ!
あるとしたら、「金貸して」とか「投票して」とかそんな用事だよ!
むしろ積極的に変えたほうが良いって!
切り替えていこ!

つまるところ、通信費を最適化できるか否かという問題は、

・現状の収入に合わせて生活レベルを調整する能力
・身の丈に合わない不要な見栄にとらわれない能力
・固定費を常に見直す能力
・最新の情報を自ら収集し理解する能力
・過去にとらわれず未来の方を向く能力
・面倒くさがらずに、各種手続きを『今日』行う能力

という、家計を健全に回すための能力群が如実に現れる部分なのである。
このことから、通信費には、家計の健全性のバロメーターとしての側面があるように思う。
単に、高額な通信費を払うことが問題なのではなく、通信費が家計に対して適切な割合であるか、そこに気付きメスを入れることができるかが問題なのだ。

身の丈に合わない不要な見栄にとらわれない能力、について思うことがある。
前々から不思議なのであるが、経済的に困難を抱えていると自称する家庭ほど、見栄のための出費をする傾向がないか。
やたら大きなイカツイ車を買って、奥さんのパート代相当のお金がすべて車関連の支出に消えているだとか、僅かな給料やバイト代から、ブランド物のバッグや高級腕時計を買うだとかの話を見聞きする。
別にどこにお金を使うかは人それぞれであるから、そこにこだわりポイントがあるのだなぁと思うだけであるが、支出先のバランスがよくわからないなとは感じる。

『お金がないからこそミジメな思いをしたくない』という思いが見栄への出費をさせるのかもしれない。
一般に、お金がある人ほど時に質素であると言われるのは、他人に貧しいと誤解されようとへっちゃらだからなのかもしれない。
収入に見合わない見栄の出費をしてしまうのは、支出に『自分の軸』がないからではないか。
自分の能力と現状に自信が持てず、なんらかの『尊敬されるためのアイコン』や、『コミュニティに受け入れられるためのアイコン』が欲しいから、見栄にお金を出すのかもしれない。

面倒くさがらずに各種手続きを『今日』行う能力については、自分で書いていて実に耳が痛いことである。
私は、投資をしなくてはしなくてはと思いながら10年ほど経過し、やっとここ3年ほどで投資を開始した人間だ。
もっと早く始めていればと臍を噛む思いである。
別に、確固たる信念があって立ち止まっていたわけではなく、ただ怠惰によって引き伸ばしていただけなのだ。
『今日』手続きをする気力が無く、先延ばしをしていただけなのだ。
「どうせまたいくつも新しいアカウントとパスワードを作らなきゃいけないんでしょ」
と、考えるだけで面倒であったのだ。
誠に愚かなことである。

そして今も、先延ばし癖に行動を支配されている部分がある。
新しい資格を2つか3つ取ろうと思っているのに、つい面倒で先延ばしにしている。
また、子供たちのパスポートを作っておこう、おこうと思っているが、平日パスポートセンターに子供達を連れて行くのがとてつもなく面倒で、先延ばしにしている。
申請と受け取り、2度も行く必要があるかと思うとうんざりする。
どちらも、一度行動に移しさえしてしまえば、スルスルと進むことだと言うのに。

怠惰による立ちすくみには、以下の2つの方策が有効であると思う。

一つは、『宣言する』という方策だ。
上司に先に、今期はこれとこれの資格を取りますと宣言してしまうのだ。
今までとった資格はこの方法で成功した。
夫や子供に、『子供達のパスポート申請するから』と宣言してしまえば、少しは動き出せるかもしれない。

もう一つは、外的働きかけである。
ちょっとしたきっかけ、のことだ。

私が投資を始められたのは、勤め先に持株会的な仕組みがあったためそれがきっかけとなり一気に投資へのハードルが下がったからである。

再就職に関しても、しなくてはしなくてはとただ悶々としていたところにたまたまエージェントがメッセージをくれたから動き出せただけで、彼からの働きかけがなければ私は英語の業務経歴書を書けるとすら思わなかっただろうし、カバーレターの書き方をネットで調べることすらもしなかっただろう。

人生は案外、ちょっとしたきっかけの累積で進んでいるのかもしれない。

子供達がそれなりの年齢になったら、種銭のみを与えて、お年玉分くらいは自分で投資して稼いでもらおうかと思う。
リスクを取るかどうかは本人次第であるが、少なくとも最初の『はじめるのが面倒』という部分だけはクリアすることができるだろう。