nicesliceのブログ

子供を見るか、子供の視線のその先を見るか

自分で選ばせるということ

繰り返すが、娘はよく幼稚園をサボりたがる。
嬉々として登園するのは美術作品展の準備期間中だけで、運動会の練習期間中や、お遊戯会の練習期間中は、基本的に行きたがらない。
今年の運動会はとうとう本番を休んだ。
練習期間中もよくサボっていたのだが、本番の数日前に軽い中耳炎にかかり、かかりつけの耳鼻咽喉科の医師に、幼稚園は休む必要はあるのか、運動会は出て大丈夫かと聞いたところ、

「特に休む必要はありませんが、行けば確実に治るのが遅くなります。
 運動会も別に行っても良いですが、もし休みたいならばこの件を言い訳に使うと良いでしょう。
 (娘に)運動会出たいの?」

と仰り、それに対し

「あんまり……」

と娘が答えたことから、休ませた。
先生いいね、こういう柔軟で適当な大人がいると、子供は息がしやすいだろう。

ところで、親の欲目では、娘は割と運動が好きなように見える。
鉄棒は、前回りも、逆上がりもクルンクルンだし、夏休みは毎日のようにプールに連れて行かされ散々一緒に潜ったり泳いだりさせられるし、運動会の練習で「いつも駆けっこで負けちゃうんだぁ……」と悲しそうに言うからビリなのかと思いきや、 2位や3位なのだという。充分ではないか!
リレーで他の走者を追い抜くところも目撃したし、マラソンはクラスの女子で一番だ。
おまけに彼女はマラソンが好きだと言う。
嘘だろ!?
ラソンが好きな人類とか存在するのかよ!?(酷い偏見)
買い物に行くにも4kmくらいは平気で走りたがり、頼むから自転車に乗ってくれと懇願しても聞かず、止むを得ず自転車と伴走させている様は、側から見ればとんでもないスパルタママである。
親バカで申し訳ない。

一方私など、逆上がりなんて結局最後まで出来なかったし、水泳はクラスで一、二を争うカナヅチで、幼稚園の頃スイミングスクールに通ったにも関わらず小6の時点で24mしか泳げなかった。
走らなくていいなら極力走りたくない。
ラソンは世界から消滅してほしい。

では何故娘は運動会が嫌いなのかというと、『具体的な指示のないまま怒られるから』だという。
バトンの渡し方や、ダンスのタイミングでうまく行かないところや分からないところがあって怒られるが、具体的に教えられないので対処できないのだという。
怒られるのが嫌でサボるともっと分からなくなるという悪循環である。
しかし先生に相談すると、娘をそういうことで叱ったり怒ったりしたことはないと仰る。
謎だ。
他の子が注意されているのを見て、自分が言われたと思ったのだろうか。
それとも全ての理由は後付けで、ただ家でのんびり過ごしたいだけなのだろうか。

さて、そろそろお遊戯会の練習が始まる。
ますますサボりたがるのだろう。
毎朝あの手この手の駆け引きや内的逡巡をしなくてはならず、非常に消耗する。
休めば休むほど、練習についていけなくなるのではないか。

でもそれは私の勝手な心配と期待である。
彼女は別の人間だ。
彼女自身の選択で練習をサボりまくり、発表会で困ってみるというのも、子供である今だからこそ低リスク&低コストで実行可能なよい勉強である。
いや、わざわざ嫌がる本人に公開処刑を強いる必要すらない。
現代の幼稚園のお遊戯会では、桃太郎も赤ずきんも白雪姫も、それぞれ5人くらいずつ居るのである。
休んだってあまり誰も困らないだろう。
それもまた、彼女の選択なのだ。

 

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