nicesliceのブログ

子供を見るか、子供の視線のその先を見るか

怒りと悲しみで眠れない

夫の趣味は料理である。
夕方、子供の相手のため料理の手を止めた私の代わりに、ポテトサラダを仕上げてくれた。
出来上がったポテトサラダは、マヨネーズとは違う臭みとしつこさがあった。
動揺を隠しつつ
「あれ、マヨネーズもう無かった?」
と聞くと、
「チーズ入れてみたんだ。美味しい?」
と聞かれた。

私は、食に関して極めて無頓着且つ保守的である。
「これはこういう味だろうな」と無意識に期待して食べたものが、全く違う味だった時。
平静を装って完食するが、内心物凄く動揺する。
夫は、味の冒険をしまくる。
市販のカレールーであっても何かしらのアレンジを加えねば気が済まず、ホールトマト缶を投入して殆どトマト味となったバーモントカレーを作ったりする。
それらは、確かに一般的には美味しいのであろう。
一手間加える事で新しい美味しさを見つけているのであろう。
食に精通し、仕事が忙しい中でも料理を進んでしてくれる、優しくて素敵な夫である。
こんな夫を悪く言うのは良く無い。
偏った考えを持つ私の方が悪い。

でも、私は味の冒険なんてしたくないんだよ!!
味のサプライズなんて要らないんだよ!
こちとら、お子ちゃま舌の貧乏舌なんだよ!
最低、サバ味噌煮缶と梅干しを、炊いた米に乗せて食べてれば満足なんだよ!
ポテサラはマヨネーズオンリー、バーモントカレーはただのバーモントカレーとして食べたいんだよ!
世間で稀に見る、サラダにレーズン&リンゴだの、そうめんだかヒヤムギだかにフルーツなんてのは舌への暴力なんだよ!

トマト味バーモントカレーの時点で、出来れば今後あまりアレンジをしないで欲しいな、とソフトに伝えたので、最近は派手なアレンジを控えてくれていたのであるが、何故か今回は、

・一週間分のまとめ買いした食材の中から
・子供のリクエストのポテサラを
・私の好物でもあり楽しみにしている中
・途中までは一生懸命作っていたのに
・ちょっと子供の相手をしている間に
・確かに仕上げをお願いしたのは私だけど
・最後の最後で
・自分の分だけではなく材料分全て
・まったく無断で
・チーズ味に塗り替えた
・いつもはポテサラ好きでモリモリ食べる子供たちが、キュウリ部分くらいしか食べない
・爆食王息子も殆ど食べない

という事をしてくれた。
「美味しいけど、やっぱりいつものマヨネーズ味が好きかな。
 アレンジするにしても、自分の分だけとか」
と返すと、
「やっぱりそうだよね、ごめんね!」
と言われた。
私もその場では納得してそれきりにしたのであるが、娘を寝かしている最中、娘から微かにチーズの臭気を感じ、思い出して「私のポテサラが!」とムカムカしてきてしまい、眠れず今に至る次第である。

いや、我ながらくだらない事でエネルギーを使っているものである。

しかし、これで食べ物に関する恨みの蓋が開いてしまった。
眠れない。

世の中には、外食をした際に、注文したものをなんでもシェアする人々がいる。
食習慣は人それぞれであるので、それが悪い事だとは言わない。
居酒屋で頼んだものや、中華料理店などでは取り分け合うのが普通でもある。
しかし、あくまでも私の感覚では、パスタ屋のパスタは、シェアする対象ではない。

大昔、独身の頃、ある友人とパスタ屋に行った際、
「私のこれ半分あげるー。あなたのそれも貰っていい?」
「え? あ、、あ、うぅん?」
と言う間に、あれよあれよと私の有頭エビのトマトクリームパスタと、彼女のバジルソースパスタが、スプーンとフォークを使用した美しいサーブにより鮮やかにくるくるとハーフ&ハーフにされてしまった事があった。
2尾あった有頭エビも1尾になってしまった。

私は、メニューを選ぶときは常に本気だ。
どれを一番食べたいか。
選んだもの以外に一切の興味は無い。
バジルソースパスタなど全く食べたくなかった。
私が食べるはずだった有頭エビ……。
卑しいと言われようとも、このときの悔しさは忘れられない。

夫のことは愛しているし、友人のことも尊敬しているが、それとこれとは別なのである。

しかしこうして書いてみるとやっぱりくだらない。
斯様なくだらない事で心乱されない人間になりたい。
おおらかな人でありたい。

そろそろやっと眠れそうである。

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追記

ブログ書いてたらお腹が空いたので、件のポテサラにツナマヨをプラスしてごはんに乗せて食べたら、ツナの力強い風味がチーズの臭みとしつこさを打ち消してお互いに引き立て合い、めっちゃ美味しかったことをお伝えすると共にここにお詫びいたします。

ごめんね夫。

直接怒ったりしなくて良かったです。