nicesliceのブログ

子供を見るか、子供の視線のその先を見るか

お母さんは『伝説のお母さん』を観られない

NHKで放映中の、『伝説のお母さん』というドラマがあるらしい。
ブログで連載された漫画が原作のようで、そちらは遅まきながら拝読した。
子育てと仕事復帰(魔王打倒)に悩み翻弄される母親を描いた作品である。
ドラマでは、原作にない多くのエピソードとメッセージが追加されているようだ。
ちょっと観てみたい。
途中の回からだが録画もしている。
しかし、観られない。
時間が無いのだ。
私など毎日家にいるのであるから、余裕で観られるとお思いであろう。
しかし、朝から晩まで絶えず子供達からの要求が発生し続けている為、テレビジョン(以下テレビ)を観るヒマは無いのだ。
試しに先程、録画していたある番組を観ようと試みたが、30秒ほど観たところで

「ジュース作ってー」
「手洗うー(手伝って)」
「ばんそうこ貼るー」
「トイレ行くー(手伝って)」
「かーたんだっこー」
「このオモチャの写真見て見て!欲しい!」
「かーたんどうぞー(お菓子を口に入れられる)」
「手洗うー(手伝って)」
「かーたんだっこー」
「おかあさんおえかきしたよー!」
「トイレ行くー(手伝って)」
「でんちー(おもちゃに電池を入れて)」
「でんちでんちー(おもちゃの電池の裏蓋を開けて、電池を取り出し遊びたい)」
「おかあさんこの中で一番好きなシールどれ?」
「おひざのるー!(お膝に乗ってピアノを弾きたい)」
「おもちゃだしてー」
「えんぴつ立てが倒れたー!」
「かーたんだっこー」
「かーたん飲んでー(お茶を口に入れられる)」
「手洗うー(手伝って)」
「トイレ行くー(手伝って)」
「ジュースこぼれたー!」
「おかあさんおてがみ書いたよー!」
「かーたんだっこー」
「ばんそうこ貼るー」
「かーたんだっこー」
「おかあさんお水どうぞ!」
「なんだろなんだろー?(おもちゃの部品を持ちながら)」
「(雑誌の写真を指差して)これなに?」
「弟のグミ食べていいー?」
「弟がグミを吐いたー!」
「トイレ行くー(手伝って)」
「ばんそうこ貼るー」
「(お腹)ペコペコー」
etc…

と立て続けに要求が発生し、40分程経ってやっと続きを観はじめ、30秒ほど経過したところでまた要求の嵐が発生し……、を繰り返し、3時間ほどで観られたのは合計3分ほどであった。
丸一日かけても、一つのコンテンツを観終わる事が出来ないのだ。

この、『何かをしようとしているのに中断される』というのは凄まじくストレスの溜まることであるので、『テレビを観ようとする』という内なる要求が邪魔されまくり、結果としてかえってストレスが溜まり、場合によっては子供に怒ってしまうという最悪の事態を迎えることになる。
余談だが、これでもかなり楽になった状態であり、上の子の赤ちゃん返りの時期は、朝から晩まで上の子がずーっと泣き続け、抱っこ抱っこと叫び続け、それに加えて間歇的に下の子が泣く、という感じであった。

この要求の嵐を抑え、凪の状態を作る方法が一つだけある。
子供にテレビを観せておく事だ。
テレビを観せておくことで、要求は激減する(ただし乳児と赤ちゃんがえり中の幼児には無効)。
家事など、どうしても何かをしたい時は頻繁に頼っている。
しかし当たり前だが、子供にリビングのテレビを観せておいたら、私はテレビを使えないのだ。

では、夜間はどうかというと、子供二人が同じ時間に寝ていればまだしも、少々ずれた時間に睡眠していると、私は二人が両方とも寝た時間しか自由にならない上、私が横に寝ていないと夜中に泣き出したり、それをトリガーにもう一人も泣き出したりするので、中々難しい。

では、土日にたまには夫に子供を看てもらって、というのも難しい。
私としては土日くらい夫にゆっくり休んで欲しいと思うし、夫は家事育児に協力的であるが、たまに夫が私を休ませようと部屋に籠らせてくれても、子供達は部屋まで私を追いかけてくる。
そもそも、夫はテレビが大好きな人間であるため、土日は基本的に夫がテレビを使用しているのだ。
たまには一人で外出してきなよと言われても、一人では街なかの何を見ても大して面白くもないし(昔は一人でのお出かけが大好きだったのに!)、「この〇〇、子供達が好きそうだなー、一緒に見たかったなー」などと思ってしまうだけだし、それでも結構リフレッシュ出来た等と思いながら夕方帰宅すると、文字通り足の踏み場も無いほど凄まじく散らかった部屋が待っていてゲンナリし、帰るなり不機嫌になりながら一人片付け大会を開催する羽目になり、夫は夫で「せっかくリフレッシュさせたのに何でこいつはこんなに不機嫌なんだ」と不機嫌になり、結果、あまり誰も得しない。
何より、外出したらテレビは観られない。
夫が子供達を公園にでも連れて行ってくれれば可能であるが、夫は、春は花粉症の為、夏は暑さの為、冬は寒さの為、買い物以外での外出をしない上、一人で子供二人を連れての外出は恐くて出来ないというので、不可能だ(その代わり買い物や洗い物や料理は積極的にしてくれる)。

結局、ドラマのメインターゲットである忙しいお母さん達は、『伝説のお母さん』を観られないのではないか。
NHKホールかどこかで、託児所付きの上映会でもやらないと、観られないのではないか。

 

 

伝説のお母さん

伝説のお母さん

  • 作者:かねもと
  • 発売日: 2018/07/13
  • メディア: コミック